←前の詩次の詩→
MAIN BACK 和題烏江亭 王 安石




西楚覇王祠・項羽像(安徽省・和県)
〈中国語ジャーナル〉
   烏江亭に題すに和す  王安石

  百戦疲労し 壮士哀しむ
  中原の一敗 勢い廻らし難し
  江東の子弟 今在りと雖も
  肯えて君王の与ため
   土を巻いて来たらんや
 
かの戦いにうち負かされし
疲れ逃るる兵士は哀し
故郷(くに)に子弟は数多あれども
君に与(くみ)する者いかばかり

MAIN BACK 和題烏江亭 王 安石
065   ←前の詩次の詩→


 この詩は、杜牧の「烏江亭に題す」に和したもの。杜牧は「巻土重来」と項羽を惜しんだが、王安石は、江東に渡っても「肯えて君王の与に」巻き返すまでに至ったであろうかと、批判の心をのぞかせる。
 政治家としても傑出した王安石の、宋詩らしい理屈の詩ともいえよう。

   連戦に疲れはて、兵士たちは悲しみに沈む。
   中原での最後の敗戦は、もはや決定的だ。
   江東の若者たちがなお残っていたとしても、
   大王のために捲き返すことなどしようか。

                 (石川忠久監修「NHK漢詩紀行」)