←前の詩次の詩→
MAIN BACK 春夜 蘇 軾



     春夜  蘇軾

    春宵一刻 値千金
    花に清香有り 月に陰有り
    歌管楼台 声細細
    鞦韆院落 夜沈沈


鞦韆の図
花の香かそけき春の宵
おぼろにかすむ月の影
うたげの声の静まりて
ぶらんこぶらぶら夜は更ける


MAIN BACK 春夜 蘇 軾
013   ←前の詩次の詩→


 北宋の蘇軾は、革新政治家王安石と対立した保守派の高級官僚であるとともに、東坡居士と号し、北宋詩人の代表の一人であり、かつ散文の面でも唐宋八大家の一人に数えられる。

   一刻千金にあたいする春の夜、
   その高価さを、一つ一つの対象に分けることはできないが、
   とりわけ清らかな香りをはなつ花、そしておぼろにかすむ月
   宵の口まで歌声や笛の音がにぎやかにきこえていた高楼からも、
   今はひそとの声もきこえぬ
   昼間は女どもがにぎやかに遊んでいた邸の中庭のぶらんこも、
   今は静かにたれさがり、夜はしんしんとふけていく

 大田蜀山人の狂歌に
   一刻を千金づつにしめあげて六万両の春の曙
 江戸時代の一刻は2時間、その一刻の値が千金すなわち1万両というのなら、ひと晩つみあげて春の朝をむかえたときは、しめて6万両、というわけである。

                    (一海知義「漢詩一日一首」)